福井の教育(データ編)からの一考察

福井では全国学力テストの結果が2年連続最上位を記録したため、全国からその秘密を探りに教育関係者からの問い合わせが殺到しているという。
この【 資料1】は、その問い合わせに応じるために作成された資料である。【 資料2】     最新版【 資料3】

その資料によると、福井では基本的生活習慣を身につけている子の割合が比較的高く、学習・運動面においてもプラス思考がみられる。その結果、学力のみならず運動面においても全国平均を大きく上回っている。

●家庭環境においては、共働き世帯率が全国1位であるが、三世代同居率も全国2位である。就業率も高く、女性就業率は全国1位である。一世帯あたりの収入は高く、全国4位である。平均寿命も全国平均を大きく上回っている。
※このことから、祖父母が大きく貢献していることがわかる。

●地域社会においては、
・地域の見守り活動やボランティア活動が活発で、AEDの対人口比設置数では全国1位であり、子育てサポートも充実している。
・地域行事への参加率も高く、子ども会やスポーツ少年団へ加入率も全国平均の2倍以上に達している。

●行政面では
・保育所への利用促進・保護者の負担軽減を図っているのがわかる。
・このような環境の下、小学校では宿題を沢山出していただけでなく、きちんとした評価・指導が行われているようである。

◎全国平均に比べて突出しているのは、
・将来就きたい仕事や夢を考えさせたり、ノートのとり方など学習方法をこまめに指導することや、授業中の規律(私語をしない,話をしている人の方を向いて聞く等)を徹底している点などがあげられる。
・さらに落ち着きのある学習環境づくりを推進するため、読書活動の充実と強化もしている。
◎このため国公立大学進学率は全国第1位であり、
・非行で検挙・補導された小中学生の出現率も全国で一番低く、
・完全失業率も一番低い。

こうしてみると、高学力・安心・安全な国づくりに重要なのは、まず、家庭環境であり、地域社会と学校教育が子供達をサポートしている構図が浮かび上がる。

国は施策として労働力の確保のため女性就労を奨励しているが、母親が就労する場合、少なくとも3歳までの子育て期間は三世代同居を推奨するか母親が就労しなくてもよい環境を創り出すことが望まれる。子供の成長に大きく関わることだけに、保育・教育行政は、学力向上のためには、幼児期(生まれてから3歳になるまで)の対応を根本から見直す必要があると思われる。

こう言うと、3歳児神話を否定する人々もいるが、国際社会(国連・ユニセフなど)では3歳までの能力開発が特に重要であると強く訴え、その論拠もすでに科学的に証明されているという。(世界子供白書2001)

0~3歳の日本人の子供を全員保育園に入れようとする施策を推し進めるならば、よほど有能な保育士を養成しなくてはならないだろう。
「子供の権利条約」の子供の権利を保障する体制は、日本にはまだ整っていない。日本は、2009年4月から保育園にも“教育”なるものをようやく取り入れることが決まったばかりなのである。