教育システムの中での就学前教育の充実強化は、欧米諸国の潮流である。
2005/06 文部科学省幼児教育課より

【背景】
全ての幼児が良質な教育及び保育を受けられることが、幼児の心身の発達や生涯学習の基礎の形成の点で重要であると同時に、多様な家族のニーズに対応し、社会的統合を確保する点で有効と言う認識が浸透。

【政策の特徴】
○機会の拡大(ユニバーサルアクセス、一定期間無償の教育・保育)
○質の向上
○政策とサービス提供の連携と調整の強化(行政所管の一元化、義務教育との連携強化等)
○十分な公的投資の確保等

<幼児教育・保育をめぐる各国の動き> 
○英国
・3~4歳を「基礎段階(foundation stage)と位置づけ、その時期をその後の成功を築く重要な時期として、就学前の漸次拡充を推進
例:全ての3歳・4歳児の無償化(04年度までの目標)
・新たに教育・保育の一体型施設として就学教育改善センター(EarlyExcellenceCentres) などを計画的に整備
○ドイツ
・OECDの学習到達度調査(PISA)のドイツの成績不振を受け、連邦・各州教育大臣会議「提言」
・幼児教育及び初等教育の充実 (幼稚園を無償化、「教育」の要素を増やし基礎学校への準備教育としての機能強化)
○米国
◇就学前教育の強化策の発表(2002)「Good Start,Grow Smart」
・ヘッドスタート事業(貧困家庭出身の児童及び保護者への教育支援)の強化
・基礎基本の指導を中心とする就学前教育のガイドラインの作成を各州に要請
・就学前教育研究の支援(教員・親への情報提供の充実等)
○オランダ
・4歳(年中児の9月)より小学校に入学
・幼児期の教育の重要性を強く認識

欧米諸国の就学前教育の強化は、これまで様々な施策の失敗の積み重ねの末に打ち出されたものであると想像に難くない。我が国では、少子化の対策を子育てしながら働ける環境の整備に、この10年間莫大な税金を投入してきたが、出生率は上がらなかった。なぜか。二人三人と乳幼児を抱えながら正社員として働きたい女性は、それほど多くはないからである。一人がやっとのはずである。

子育ては大変だから地域が担う、だから安心して働いて(しっかり税金を納めて)くださいとのメッセージが流されている。専業主婦は、もはやいらないそうである。
このような施策には、子供の成長に対する愛情が全く感じられない。「あなたの子は誰の子ですか」と問いたくなる。

欧米諸国の動きは、幼児教育と子育てしやすい環境整備が主で、仕事が従であるようだ。日本は、経済活動優先のため、親の仕事しやすい環境整備が先で、子育て・幼児教育は後回しの感が否めない。
保育時間が早朝から深夜までという保育所が、続々と造られている。そんな環境で、まともな子が育つといえるのだろうか。

17年前の1988年、幼稚園教育要領の改訂以来、幼児教育にも行き過ぎた自由保育なるものが横行している。この教育を受けてきた子供達も、来春から大学を卒業してくる。義務教育指導要領も同時期に改訂され、それまでの教育観が変更されている。
「ゆとり教育」世代たち(今年26歳位以下か)・・・ニートにならないよう祈る・・・